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「最近の自転車、かなり高くなりましたよね」
先日、20代の男性客がそう言いながら来店された。中級者で、ロードバイクに乗り始めてから数年経つ方だった。
「15万だった自転車が、今だと20万ですよね」
その感覚は正しい。正直に言うと、ロードバイクは過去10年でエントリーグレードの性格が大きく変わった。値上がりだけが問題ではなく、何が買えるかの意味が変わっている。
要は、「エントリーロードバイクは、もう"入門用のレースバイク"ではなくなった」ということです。
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10年前と今のエントリーラインを比べると
2015年前後、20万円以下の予算でロードバイクを探すと、アルミフレーム+フルカーボンフォーク+シマノ105(11速)という構成の車体が選択肢として存在していた。
105は当時も今もシマノのロードコンポーネントで「レースで使えるグレード」とされる製品だ。「エントリーモデルでレーススペックが手に入る」という状況が、ロードバイクの裾野を広げていた面は間違いなくある。
25万円出せばカーボンフレームにTiagra(旧4グレード)以上がつく車体も買えた。
今は状況が変わっている。
| 予算帯 | 2015年前後 | 2025年現在 |
|---|---|---|
| 〜20万円 | アルミ+105(11速)が選択肢にある | クラリス(8速)またはSora(9速)が中心 |
| 〜25万円 | カーボン+Tiagra以上が見つかる | アルミ+105(12速)が上位 |
| 30万円〜 | カーボン+105(11速)が主流 | カーボン+105 Di2(電動)が視野に |
この価格帯の変化は「性能が下がった」ということではありません。今の8速クラリスと10年前の105では、絶対的な性能で言えば今のほうが整っている部分もあります。ただし、「同じ予算で手に入るスペック」の意味が変わった、という話です。
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なぜここまで変わったのか
大きな要因は3つあります。
1. 部品・製造コストの上昇
円安・原材料費・輸送コストの影響で、完成車の製造コストが上がり続けている。メーカーも値付けを調整せざるを得ない状況が続いています。
2. コンポーネントの世代交代(105の12速化・電動化)
シマノが105を12速化した際、旧来の11速105は供給が絞られ、新しい105はDi2(電動)のみという時期が続きました。「エントリーでも105」という選択肢の数が一時的に激減した。これが市場に与えた影響は大きかった。
3. 完成車のグレード整理
各メーカーが「エントリー」「ミドル」「ハイエンド」のラインをはっきり分けるようになった。かつての「グレードをまたいだコスパの高い選択肢」が少なくなり、価格帯ごとにスペックが均一化された。
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失われたのは「迷う楽しさ」かもしれない
ここからは少し主観的な話です。
10年前のロードバイク購入は、もっとカタログ的な楽しさがあった。同じ予算でも「このモデルはフレームが良い代わりにコンポが一つ落ちる」「あっちはコンポが良いけどホイールが重い」という選択が存在した。
ある常連のお客様の話をすると、最初にエントリーロードを18万円ほどで購入し、半年以内に別の自転車(ピストバイク・7万円)、さらにクロモリロード(20万円前後)、最終的にカーボンロード+カーボンホイール(合計50万円ほど)と、2年間で4台を経験されていた。
その間、どの車体にも「なぜ自分はこれを選んだか」という理由があった。フレーム素材の違い、乗り味の違い、専用設計のカスタマイズの楽しさ。紙のカタログを眺めて、スペックを比較して、「次はこれにしたい」と妄想しながら乗る。そういう文化が、入門価格帯のロードバイクの厚みと共に育っていた部分があると思います。
今は選択肢が「より最適化」されている。電動コンポが標準化されれば、購入後に「あれを追加したい」「これに換えたい」という発生頻度は減る。それ自体は便利なことですが、同時に迷う余地も失われています。
cycleZでは、今でも「正解を押しつけない接客」を続けています。紙のカタログのように全車種試乗できる環境を作っているのは、スペックでは伝わらない「乗り味」を体で知ってほしいからです。
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今のエントリーロードバイクをどう考えるか
値上がりしたとはいえ、今の10〜15万円帯の自転車の品質は悪くない。フレーム精度・安全性・走行品質は10年前の同価格帯と比べても上がっています。
ただし、「将来的にスペックアップしたい」と考えているなら、最初の選択が後の選択肢を狭めやすい時代になっています。「このコンポは12速だから、次にホイールを換えるときに対応品が必要」「電動変速にしたら電池とケーブル管理も必要になる」というように、完成度が上がるほど後からの変更コストも増えます。
迷ったときには、試乗して決めてください。数字とスペックで「これで間違いない」と思った車体でも、乗った感覚が合わないことはあります。逆に、「予算的に妥協したつもり」の一台が、乗ってみたら想像以上に良かったというケースも珍しくない。
言葉にしにくい「なんとなくの違い」が確実に存在します。それを知るためには乗るしかありません。
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岡山市のスポーツバイク専門店。試乗・ご相談はお気軽にどうぞ。
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